たった2回しか経験していない私がモービルワッチを語るのも僭越だが、回数はともかくその楽しみの本質を知ってしまって語らずにはいられないので語らせて頂く(笑)。

 実を言えば私は元々はモービルワッチに対して、大して期待をしていなかった。確かに私の自宅の環境は都市化が進み悪化しつつあるのだがそれでもまだ良い方であり、モービルワッチをしたからといってそんなに大きな差はないであろうと想像していたからである。やるのであればそれこそ外房とか東北太平洋岸まで行かなければ、それほどの成果は生まれないだろうとタカをくくっていたのである。しかしその考えはたったの1回で根底から覆されてしまった。結論から言う。「これはすごい!」。

 都市型ノイズは侮れない。あるところとないところの差は全くもって甚大である。そしてそのノイズの少ない場所は、房総まで行かなくとも家の近所でも発見できるのである(これは住んでいるところにもよるが)。そして車であれば確実にその場所に陣取ることができるのである。

 次にアンテナである。私はRF SystemsのT2FDとWellbrookのALA-1530ループの2つのアンテナを使用していてどちらも非常に素晴らしいのだが、モービルワッチで張るアンテナはこれらを完全に凌駕する。都度設営・撤収するのは大変だが、それでも100mとかそういったレベルのアンテナが張れる(勝手に張ってしまうのであるが-笑)のである。

 「好ロケーション+優れたアンテナ」で成果が生まれないはずはない。実際にこの道の先輩に初めて連れて行って頂いたモービルワッチで、早くもそれを体感してしまったのだ。私はIDをとり損ねたが、のっけから120mbのメキシコ局(2390.08kHz R.Huayacocotla)を受信したのである。これには仰天してしまった。決してコンディションが良いとは思えなかった日にである。

 もちろん「好ロケーション+優れたアンテナ」はペディションで実現できるのだが、ペディションに行けるのは年にせいぜい数回である。時間もお金もかかるし、そうやすやすと行く訳にはいかない。しかしモービルワッチなら年に数回ではなく、月に数回行っても大丈夫である。

 これらの素晴らしさに今更ながら気づいてしまった私は、いつでも自分の好きなときにモービルワッチができるように急速に道具を揃えた。以下は先輩の真似をして私が揃えたグッズの一覧である。

1.バッテリー:初回のワッチのときは車のバッテリーから直に電源を取ったので、バッテリー上がりにならないかとヒヤヒヤしたものである。そこでまずこれを入手することにした。日本電池のPC6100という14Vのものであったが、残念ながら既に製造中止であり、メーカーに問い合わせたがいわゆる後継機種は発売されていないとのことであった。どうしたものかと思案していたら、ネットで検索したら運良く見つかった。ネット通販の現金問屋で4,500円という破格値で入手。これから手に入れようという方は、こういう現金問屋とかホームセンターとかで流通在庫を狙うのが得策かもしれない。

2.アンテナ:先輩の真似をして100mの電線を買ってきた。私のは0.75mmという規格のもので1,700円であった。これに巻き取るためのボビン(600円)が加わる。

3.シガーライター用電源コード:PC6100にはシガーライターソケットが2口ついていて、ここに接続することになる。市販されているのかどうか知らないが、私は自分で作った。秋葉原でφ2.1のコード付のジャックとシガーライタープラグ(ヒューズ入り)を買ってきてはんだ付けした。

4.バラン:エレメントとしてのワイヤーからフィーダーとしての同軸ケーブルにつなぐときにインピーダンス変換を行って、利得を損失しないようにしなければならない。これは別のDxerの方にアドバイスを頂戴して、9:1のものを作成した(参照:10/24Diary)。

5.アンテナ2分配器:これは今年に入ってやはり別のDxerの方にご指導頂いて作ったもの。2人でやるときには必携である。

6.プリアンプ:これもいろいろな方にご指導頂いてやっと完成した。アンテナを分配した際にロスした利得を補完する。

7.懐中電灯:車内は真っ暗であるが、リグやMDを操作したりログを書いたりと暗い中では難しい作業も多い。しかしルームランプをつけっぱなしにするのもバッテリーが心配なので(&目立つ!)、懐中電灯を使用するのが良いようである。

8.アンテナ線を潅木に引っ掛ける棒:短い物干し竿の先に針金で細工をして、写真のようなものを作成した。

良いことばかりを書いたが、苦労も存在する。一番気になるのは「怪しい」ことである(笑)。夕方から車の中で一人ヘッドフォンをつけて何かを聞いていれば、これは誰が見ても怪しい。警察に通報されても文句は言えない。工作員に間違えられても仕方ない。それから安全面の問題である。やはり人里離れたところに行くので、非常に物騒である。襲われたら大変である。いつもと言うわけには行かないが、なるべく2人以上で行った方が良いだろう。

 さあ、このように私に新しい喜びを教えてくれたモービルワッチを、今年はあと何回楽しめるだろうか。今からワクワクしていてどうしようもないのである。

(Oct.27,2002)