昨年末に「BCLのモチベーション」と題して、徐々に落ちてきた気がするこの趣味に対するモチベーションについて綴ってみた。導き出した結論は決して悲観的なものではなかったにせよ、こんなテーマで書くこと自体アクティビティが落ちていることを実感した証拠に他ならない。しかし気負わず楽しんでいこうと考えたら、結果的には2008年のBCL LIFEは全然低調ではなかった。むしろ十分活発であったと評していい活動ぶりではなかったかと思う。自分の今後進めて行きたいBCL LIFEを模索する上でも、ここで一度2008年の活動について総括してみたい。

 その「BCLのモチベーション」の中で、2008年に取り組んでみたい活動としてVHF-DXと月曜早朝中波DXを挙げた。いずれも自身がこれまで真剣には取り組んでこなかったジャンルであり、この分野を開拓すればまだまだ楽しみは得られると思ったからである。そしてこれらはいずれも狙い通りに楽しむことができた。前者についてはEスポシーズンイン直前にディスコーンアンテナを設置し、態勢を整えた。そしてシーズンを迎えたら沢山の中国語・韓国語局が聞こえ、ほぼ初心者の私にとってはどこを受信しても初受信局であり非常に楽しめた。しかしいざ受信してもそれがどこの局であるのか判別できず、慌ててこの世界のバイブルとも言える「TV-FM受信ガイド」の今年度版を取り寄せて、不明局の解明に当たった。そして同書の編者でありこの分野の大御所であるF師がID確認のノウハウを講演なさると聞いて、アジア放送研究会のフォーラムにお邪魔したりもした。更には受信録音を自社の中国/台湾出身社員に聞いてもらったりと、随分遊ばせて貰った。そうした海外のFM-DXとともに国内FM-DXも楽しめた。FM沖縄は受信済みだったが、今年は北海道のFMもAIR-G'や推定NHK-旭川などを受信することができた。このようにVHF-DXについてはまだ緒に着いたばかりであり、これからますます楽しんでいける分野であろう。

 月曜早朝中波DXも短いながらも楽しめた。ヨーロッパや中東の中波局を自宅で聞けるのは大昔の話だと思っていたが、今年は我が家でもチャンスが巡ってきた。1422のDLF、1179のR.Sweden、1053のルーマニアのR.Iasi、そして1233のR.Monte Carloなどが受信できて非常に興奮した。またNHK東京第一594kHzが停波した日には、フィリピンのDZBBを受信することができた。この他さしたる成果は出せなかったが、1月/2月の茅ヶ崎ぺディでは、1422の推定3XYのようなAUS民放局もいろいろ受信できた。秋に新潟県和島でぺティをやったメンバーによれば、同地ではヨーロッパ局の他アフリカのVOA Sao Tome、そしてなんとTWR-Beninなどのアフリカ西海岸局も入ったとのことで、この分野も来年以降も期待できるであろうと思っている。

 次に私のモチベーションの源となっていることに人と会うことがある。今年もいろんな方にお会いできた。従前よりお付き合い頂いている皆さんとは勿論のこと、この人と会いたいと思っていた方々にも進んで会いに行って、新たな親交を結ぶことができた。ネットで知り合って何度かメールを交換してきた米国在住のT氏もそのお一人である。今年一時帰国したタイミングに丁度日帰りペディを企画していたので、絶好のタイミングとご一緒頂き今回初めて会うことができた。会わないままで終わってしまったお付き合いは数知れずあるが、こうして一度でもリアルに会えると印象に残るし、何か特別な存在になる。札幌のT氏、そして隣町にお住まいのM氏とはそれぞれアジア放送研究会フォーラム及びJSWCミーティングで偶然お目に掛かれたが、こうして会えたことで線は太くなったり細くなったりしながらもつながっていけそうな気がする。

 さて私のBCLスタイルの特徴は「毎月ぺディ」である。日帰りが多いが回数で稼ぐタイプであり、今年も9回行った。家の近所で行うチョイペも含めるともっと回数は増える。何せ劣悪化する一方の受信環境なので、自宅でDXをすることは年々難しくなっている。ここ数年は中波~そしてTP-DXを中心にやっているので、そろそろ常連局以上の局をターゲットにしており、そうなると自宅での受信はいっそう難しい。従って益々外に出る必要が高まるのである。ホームグラウンドは3箇所、近いところから順番に茅ヶ崎、三浦半島、そして外房である。茅ヶ崎は南方面の局との相性が良く、フィリピンやAUS局がそこそこ聞こえるが、TPではあまり実績がない。宿泊施設があるので、半分宴会用の会場だ。三浦はローノイズでTP-DXも悪くない。ここでは結構MY firstを稼がせてもらった。近い割には楽しめるロケーションだ。しかし外房はことTPに関してはやはりレベルが違う。信号強度が全く異なるのだ。遠いのでしばらく足が遠のいていた時期もあったが、改めて行ってその凄さに驚嘆した。今年は11,12月と行ったが、それぞれキューバ、アルゼンチン中波局を受信することができた他、北米内陸部の局も受信することができた。やはり段違いだし、無理のない時間に行って帰るパターンで臨むことで来年以降も続けていきたいものである。

 そんなDX活動の中で忘れてはならないのが、海外DXerとの交流だ。前述の通り年初に茅ヶ崎で受信した局が1422/3XYではないかということで、使用言語がギリシャ語であるかどうかを確認する意味でも、ギリシャ語を理解するDXerのアシストを求めた。そして以前から入っていたMLのDXerの紹介でIDの確認に特化したMLであるRealDXMLに加えてもらった。そこで早速発言して、ギリシャ人DXerから間違いなくギリシャ語であるが残念ながらIDは出ていないとの回答を貰った。開けた方面から考えて3XYであった可能性は高まり、不明局解明に一歩前進した。これに味をしめて、このMLでは何度か投稿させてもらい、ほぼ全てが解明するなど非常に良い成果を挙げることができた。反対に数は少ないが日本がらみの投稿には反応するようにして、自分も多少なりともGiveすることができた。数人のDXerは日本人である自分の参加を喜んでくれて、MLではなくダイレクトで問い合わせのメールを寄越してくることもちょくちょくある。このメールの交換は英文を書くのに不慣れな自分には苦痛でもあるが、やはりアウトプットの訓練になるので非常に有難いのだ。今後はエリア的にどうしても欲しいAUSのDXerに気の合う方を見つけていきたいと思っている。とにかくタダに近いコストでタイムラグなく全世界の同士と交流できる恩恵は引き続き享受していきたい。そしていつの日か彼らともリアルに会って交流したいと思っている。

 DXという趣味は聞こえているときは良いが、聞こえないと途端にスランプに陥ってしまう。なので人との交流もそうだが、他にも楽しめるコンテンツを持っていることが非常に大事だと思っている。そんな私の1つのコンテンツは受信機のコレクションである。まあコレクションと言っても金持ちではないので、高い受信機を買い漁るなどということはできない。サラリーマンとしての分をわきまえて、許される範囲で昔欲しかった受信機を手元に置く程度のものだ。今年はお仲間であるBちゃんのご厚意で、昔憧れたTRIOの名機9R-59DとR-300を入手することができた。嬉しいしBCLを復活してから欲しいなと思ってきた機種は大体揃ってきた。後はYAESU FR-101DD、TRIO R-1000、KENTEC BCL-1だが、どなたかよろしく(笑)。あわよくば定年を迎えたらこうしたリグのレストアにもチャレンジしたいと思っている。

 そんな古のラジオはともかく、今年は受信機についても革新的な事態が発生した。ご存じPERSEUSの登場である。SDR受信機は近年台頭してきて一部マニアの間で使用されてきたが、DXの方法としてはちょっと邪道な気もしたしかつ、帯域一括記録するにしても150~400kHzでは中途半端だと感じたため、中波帯域一括記録は時間の問題と思い、少し待っていた。すると技術革新のスピードはすさまじく、ソフトウェアのバージョンアップによりあっという間にそれが可能になってしまったのだ。それでも導入を逡巡して臨んだ11月の外房ぺディで、PERSEUS体制のShinさんに結果として比較にならないほどの大差で完敗してしまい、遂に私も導入を決断した。そしてDXerK氏のご厚意で直輸入品をリーズナブルな価格で仲介して頂いて入手することができた。ALAもそうだったがまあそんな簡単には壊れないだろうということが前提だ(汗)。そしてSDR受信機に必要なハイスペックPCもDELLで調達し、2009年はいよいよPERSEUSという全くコンセプトの異なる受信機でDXに臨んでいくことになる。

 こんな風にやりたい放題やって遊んでいると、時にBCLを題材とした取材の対象を求めているマスコミの方からアプローチされることがある。3月には高級オーディオ雑誌のanalog誌に取り上げて頂いた。カラー3ページで掲載して頂いたが、内容は上手にまとまっていたし、写真は綺麗だったしで、とても素敵に仕上げて頂いた。私としてはとても良い記念だし、大切な想い出の品になりそうだ。

 この他既に書いた香港でのBCL活動などいろいろやってきたが、興味のネタはまだまだ尽きない。沢山の興味を抱きながら復活後10年目、人生通算15年目のBCL LIFEに突入して行こうとしている。これらにより導き出される2009年のBCL的課題は以下のようになろうか。

1.PERSEUSを用いたDX:従来のアナログ受信機とは全く発想が異なる種類の武器を用いて、そのポテンシャルを最大限発揮させるべく高頻度でぺディに出掛け、TP-DX的には東海岸に一歩でも近づいてMy firstを沢山ゲットする。現在の総受信局数は650局ほどだが、何としてでも1,000局は達成したいというのが自分の夢だ。

2.昨年同様月曜早朝中波DX、及びVHF-DXは力を入れてやっていく。

3.新たな仲間作り:余談だが2001年6月にHPを開始してから7年半が経過し、遂にプロバイダから与えられた容量50MBに到達し、1月から一気に10倍の500MBを追加する。間違いなく自分が死ぬまでもつと思う(笑)。ところで何故このようなHPを立ち上げてこんな駄文を書いているのかを自問自答してみた。確かに自分のBCL的覚書であり、備忘録としての機能は持っている。しかしそれだけが目的なら、大学ノートで事足りる。すなわち他の目的がある筈だが突き詰めて考察すると、自分の「仲間作り」のための重要なツールとしているのである。というか今まで知り合ったお仲間も、ネット経由でなかった人の方が少ない。私のBCL活動は近年偏りを見せていると思うし、誰もが共感を持って読んで頂けるテーマではないとも思っている。そして私は他人の悪口は書かないが(笑)、自分自身の思ったこと感じたことは自由に書いてきたし、このサイトをご覧頂けば私という人間の人間性については凡そご理解頂けるであろう。その上で興味を持ってアプローチして下さる方を、私はもっともっと捕まえて仲間を増やしていきたいと思っている。

(Dec.29,2008)