今年は収束に向かうだろうと思っていたコロナウィルスは収まるどころか引き続き猛威を振るい、我々の日常生活を制約した。BCL LIFEについてもそれは例外ではなかったが、それでも昨年同様、工夫をして楽しもうと努力した。そうして今年も沢山の想い出を作ることが出来た。

一番の想い出は、何と言ってもBCL復活以来の最大の目標であった北米東海岸中波局の受信である。仲間内では既に2018年に受信されていたBostonの1030kHz/WBZを、11月の岩手北山崎ペディで遂に受信することが出来たのである。SSNも上昇に転じていたので、もうこのサイクルでのチャンスはないのではないかと、ちょっと諦め気分もあった。しかし今回は北山崎と北海道の2箇所で、全く同じ時期に開催した「同時多発ペディ」だったので、参加した全8名+諸事情で参加出来なかった3人を加えた11名でLINEグループを編成し、リアルタイムで情報交換をしていた。すると北海道組から、WBZが聞こえているとの情報を貰った。北山崎でも臨戦態勢に入り耳を研ぎ澄ませてIDを取ろうとしたが、なかなか聞き取るまで至らなかった。しかしメンバーの宮さんが記録した受信音を聞き直してIDをゲットし、海外DXerの協力も得て受信を確認することが出来たのである。長年の夢が実現した感動があったし、北海道組と情報交換をしていたことがその一助になったのは間違いなく、色々な意味で忘れられない出来事となった。

それ以外の活動だが、TDXC Conventionは予定通り開催出来た。但し前年のようなリアルではなくオンラインイベントとしてである。開催された1/10~11の直前にコロナの状況は再び悪化し、緊急事態宣言が発出される事態になった。それは想定してリアル/オンライン/ハイブリッドの参加形態を考えていたが、結局は私を除いて全員オンライン参加となった。しかしコンテンツとしてはプレゼンテーション、オークションは前年通り実施出来たし、当日の専用掲示板で情報交換も出来た。本当はペディもリモートサーバーを立ち上げて一緒にやろうとしたがそれは設定が上手くいかず断念した。しかし参加者各位はROK技術倶楽部を共聴して楽しんだようだ。私自身はリアル単独ペディを行い、オーストラリアの珍局693kHz/6WRをキャッチすることが出来た。オンラインがあったお陰で、行事開催を諦めずに楽しめて良かった。

ペディ参加については上記北山崎、茅ヶ崎柳島キャンプ場の他、茅ヶ崎の海岸にはバイクチョイペで何度も出掛けたし、太東埼にも今年も車7台で乗り付けて楽しんだ。そのお陰でWBZ、6WRのような珍局が受信出来た他、バイクチョイペでは久々のKiribati、また茅ヶ崎では初となる推定トンガも受信出来た。近場でも複数回行ったことで、成果に繋がったと思う。
 グローバルな活動については、この状況下ではIRCA Conventionに参加することはとても叶わなかった。しかしこれは尾原さんのサジェスチョンによりNASWAのSWL Festにオンライン参加することが出来た。日本の深夜の開催だったし長時間だったしで、実際に聴講したのはその一部ではあるが、こうした形でグローバルなイベントに参加出来たのは画期的なことであった。これもまた良い想い出である。

ところでテレワークが週の半分くらいになったことで、それを逆手に取って何か面白いことは出来ないだろうかと思案した際に思いついたのが、日中のEスポDXであった。従来であれば日中は仕事で外出するためEスポDXのチャンスは在宅する週末に限定されていた。それが日中も在宅するケースが増えたことと、VHF帯でも10MHzの帯域記録が出来るSDR Airspy R2を導入したことで、EスポDXのチャンスは比較にならない程増大した。そこでアンテナもFM用八木アンテナを設置したし、仕事の合間にEスポ発生状況をワッチし頻繁に帯域記録にチャレンジした。残念ながら私は受信出来なかったが、5月には別な方がグアムFMを受信されたとの報もあり、この夢は来年に引き続きチャレンジすることにした。

BCLからは外れるが、当初から目標に掲げていたアマチュア無線3級取得は講習会参加により達成し、機器も揃えて4/1には50Wでのオンエアーを実現した。実際の交信はさわぽん氏の「BCLロールコール」とTDXC無線班メンバーの移動運用との交信ばかりだったが、それでも自宅で遠くの仲間と交信出来るようになり、積年の夢を叶えることが出来た。

さて次に、来期の抱負について記してみたい。

まずはDX活動については総括でも言及した通り、グアム・サイパン・フィリピン・香港のFM局を受信したい。そのためにR2をもう1台購入して20MHzを帯域記録出来るように、そして専用で受信出来るようPCも中古ながら1台購入した。Eスポシーズンが楽しみだ。中波では今年取れなったトンガを、来年こそ地元茅ヶ崎で受信したい。近場でのバイクチョイペで、難易度の高い局を受信するのもロマンがある。ペディに関して言えば、来年も北山崎に出掛けて、WBZに続く東海岸にチャレンジしたいところである。

グローバル活動についてはリアルなConventionには当面参加出来ないと思われるので、今年もオンラインで参加したいと思う。Zoomを使って様々なDXerと個別に交流することにも、今年はチャレンジしたいと思う。

TDXCのConventionは、来年は3月の連休に開催を予定している。既に5名のプレゼンターにエントリー頂いており、偏らないバラエティに富んだプレゼンが楽しめそうである。そのTDXCに関して言えば来年は節目の10周年に当たり、同じく10号目となるPROPAGATIONと併せて、祝賀会は今度こそはリアルに横浜中華街で開催したいと思っている~遠方の仲間とも楽しみを分かち合う意味で、ハイブリッドが良さそうだ。通常のお祝いという意味合いに加え、今回は10年を振り返るコンテンツも何か作ってみたいと思う。

この他もBCL関連電子工作、以前頂戴して未だ殆ど読んでいない「電波技術」誌を読むこと、IRCAの資料集Reprintsをダウンロードして読んで新たな楽しみのヒントを探すこと、BCLブーム時代の歴史探訪(図書館での関連書籍探索、関係者インタビュー)、アマチュア無線HF帯への進出等、取り組みたい課題は山ほどあるがどこまで出来るか。来年もBCLは多くの至福の時間を、自分に与えてくれそうである。

(Dec.31,2021)