BCLを復活しようとして、まずはほとんど衝動買いに近い形でNRD535を買い、すぐにアンテナを建てることを迫られた。20年前もそうだったが市販品を買うという発想はあまりなく、とりあえず自分でロングワイヤーを作って張ってみようと思い材料を買ってきて建てた。

しばらくは4m高と低く貧弱なパイプのマストと銅線で、最長19mのロングワイヤーとして使用した。しかしながら周囲のDxerがレポートしているようなDX局が自分には受信できない。何より昔は体験しなかったような激しいノイズがあるし、ゲインも低い。決定的だったのはアクティブアンテナSONY AN-1との比較で敗れたこと(実は本当に敗れていたのかは定かではない。ただ単にAN-1の方がSメータが振れたということであって、実はS/N比はワイヤーの方が良かったかもしれない)。いずれにしてもこの段階でロングワイヤーは失格の烙印を押され、AN-1が勝ち残った。

AN-1でもそこそこの局は聞こえた。しかし依然としてものすごいノイズに悩まされたし、受信した信号自体も混変調気味でビートが多くあまり聞きやすいとは言えなかった。そこで更なるDXを目指して、短波帯のアンテナとして書籍に「RFシステムズ一押し」と紹介されていた「T2FD」を購入し設置することにした。幸いにも我が家は一軒家であり、決して広くは無いが一応敷地はあるからである。

ワイヤーアンテナのくせに3万円もするT2FDは近所のハムショップを経由して入手した。さあ張ってみようと思い梱包を解くがこれが大変。T2FDは丁度縄梯子のような形をしているのだが、これが複雑に絡み合っていて大変なことになっている。これをほどくのに一苦労する。そしてそれの一方を3F壁面のマストにくくりつけ、もう一方を庭のフェンスにくくりつける。全長15mで計算上は丁度いいはずだったのだが、実際に設置してみると屋根に乗っかってしまいダラーンとしており何ともだらしない感じ。みっともないながらもとりあえずアンテナチェンジャーにつなぎ、同じ局をAN-1と比較しながら聞いてみる。その結果は・・・やはりSメータの振れはAN-1の方が勢いがいいので、一瞬失敗したか!と思った。しかしほどなく以前のレポートの通りで、T2FDは一見静かに見えるが実は微弱な電波を確実に捉える非常に優秀なアンテナであることがわかった。こうなってくると現金なもので、だらしなく設置されているT2FDをきちんとすればもっともっとパフォーマンスを発揮できるのではないかと考えるようになった。

まずはフェンスにくくりつけてある方をきちんとマストを建ててそこにくくりつけ高さを稼ごう。一方が高くなると距離を稼ぐためにもう一方は今よりも高くし遠くに設置しなければならない・・・マストには何を使おうか、タワーを建てるしかないのか・・・いろいろ悩んでたどり着いた結論は結局原点に戻ることだった。すなわち20年前と同じようにマストに「竹」を使うことである。

竹はワイヤー系アンテナのマストの素材としてはやはり最高である。

・     まず1本の長さが10m前後ある。他の素材でジョイントせずにこれだけ長さが稼げるものは無い。

・     そして軽い。竹なら万が一倒れても大きな被害を及ぼすことは考えられない。

・     最後に安い。一本当たり市価で2,000円くらいと思われ、格安である。

 これほどまでにメリットの大きい竹を最後まで使わなかったのは、やはり見栄えの問題である。20年前も決して見栄えは気に入らなかったが、とても簡便なので使ったのだが今回はうちはまだ新築2年目である。しかし上記のメリットには替え難く、竹を使うことを決断した。

さてその竹を入手するに当たっては近所の竹林所有者に頼んで、自分の最も気に入った竹を自分で切らせてもらいに行った。しかし「できるだけ長く、できるだけ丈夫で」と欲張ったため、1本はとんでもなく重くなってしまった。しかも公道をかついで歩くので車にも注意を払わねばならない。

やっとの思いで自宅に持ち帰り約8mの高さにして建てた。そしてもう一方はパイプマストを復活させ3Fベランダに建てた。高さは恐らく13mくらいになったと思う。かなり良くはなったのだがまだ屋根に乗っかってしまっている。これが完全に宙に浮いて完成形と言えるだろう。いよいよ今週末に3F側のマストを高くするために、そのための竹を採取に行く。

完成の暁にはパフォーマンスは変わるであろうか? 2/24に購入してから設置までやたらに時間がかかってしまった。思いの他障害が多かったからである。それを乗り越えるために大変な苦労をした。でもT2FDはその苦労に見合うだけのリターンを私に与えてくれつつある。

※ちなみに猛烈なノイズの発生源はTAであることが判明し、ローバンドのDXの際には基本的にTAの電源をOffにしている。それによって他のDxerと同じような局が聞こえるようになった。AN-1はここでも不良で、TAのノイズもT2FD以上に拾って増幅していた。