復活して9年も経つと段々新鮮味が薄れてきて、少々のことでは感動しなくなってしまう。それも寂しくはあるが仕方ない。そんな中でも振り返るといい思い出が幾つかはある。ここではそんな思い出を書き留めて総括し、そして2010年どんな課題を持って取り組むかを展望してみたい。

今年は復活以来の、非常に大きな変化が2つあった。まず1つ目はSDR受信機PERSEUSの導入である。この受信機が自分のDXのあり方を根底から変えてしまった。一般のBCLでこの機種を購入した方も結構おられるようだが、最も恩恵にあやかったのは他ならぬ自分達MW-DXerであったのは間違いない。中波帯域一括記録で後から聞き直すことが出来るので、これまで入感していながら見逃していた局をごっそり受信出来るのだ。最初はこんなの反則で邪道だと思ったし買う気もなかったが、08年末のペディで一緒に行ったお仲間にその結果において全く比較にならない差をつけられたため、すっかり考え方が変わり一転信者となった。この豹変振りを見た周囲のお仲間に「君子でもないのに豹変した!」と随分悪口を言われたものだ(笑)。08年末ギリギリに購入し早速1~3月のペディに持参したが、この数回はロケーション・コンディション共に今一つで、全く本領を発揮できなかった。TPシーズン最後の最後4月の外房ペディでMy firstを一挙に8局受信し、その威力を実感することが出来た。あとは回数をこなして行きまくるだけだ。ということで以降のペディの主役は完全にPERSEUSになった

もう1つの変化はアクアライン800円の衝撃である。完成当初は通行料金4,000円、ペディに行くようになった近年も3,000円だったため全然使う気にならず、従来は東京湾をグルリと回るルートであった。しかし神奈川から外房に行くのにアクアラインを通った方が直線的で近いのは、地図を見れば明らかだ。以前は片道3時間で外房は遠いと思ったものだが、アクアラインルートだと2時間強だし交通費も若干安くて済む。通行料金は今年一旦1,000円になり、更に森田健作知事になり800円まで下がった。この恩恵をフルに活用し、ペディの会場はデフォルト外房になった。5~7月と南狙いでAUSやNZLの民放局、更に珍しいところではインドネシアの推定RRI-Nabire、同じくManokwariなども受信できた。そして9月~はまたTP-DX再開でアルゼンチン中波を、そして北米ではカンサスKVGB、アイオワWHO、更にはミシシッピ川を越えてウィスコンシン州WTDYまで、カナダでは難物のサスカチュワンCBK、マニトバCBWのCBCコンビまで受信することが出来た。今年もまた一歩東海岸に近づいた。

PERSEUSとアクアラインのお陰で、自分がDXアクティビティのバロメーターにしているMy firstの局数も(ここ数年減少の一途を辿っていたが)今年は76局と、前年の44局に比べて大幅に増加した。

そんな訳で大いに楽しんだTP-DXだったが、副産物として思い出に残る出来事が幾つかあった~局の人々との交流である。幾つかの局は好意的な返信をくれて、Tシャツやノベルティを送ってくれた。中でもTシャツを送ってくれたカフォルニアのKGOEは、それを着た写真を送ってくれたらHPに掲載したいと書き添えてあった。なので早速写真を送ったが、本日現在未だに掲載してくれていない(笑)。またワシントン州EverettのKRKOは送信機を新設したということで、その写真を送ってくれた。私がお祝いのメールを送ると、私のレポートを送信所の掲示板に掲示したと返信をくれた。しかし何と言っても想い出深いのはノースダコタのWDAYの番組に出演したことだ。この件はQSL Galleryに書いたので詳細はそちらに譲るが、諦めなかったことでいい経験が出来た。

DXのもう一翼を担ったのは今年もVHF DXだ。今年もICOM IC-R7100をフル稼働させ、20数局をプラスすることが出来た。しかしこの分野こそ、PERSEUSのような帯域一括記録の受信機が欲しい。オープンすると文字通り百花繚乱であり、どこを取って良いのか迷うためである。この分野での課題はとにかく語学だ。IDくらいは取れるようになりたいし、中国語、台湾語、韓国語の初歩くらいはマスターしたいものだ。これは実現しよう・・・いつかは。そのために今年は中国語の入門学習教材を買った。

DX以外で思い出に残ったのは、やはりDXerとの出会いである。今年はかのNDXC茶臼山ペディに参加させて頂いた。小中学生の頃に憧れたNDXCペディは当時の様相(参加者の人数、年齢層、受信システム等あらゆる面で)とは全く異なると思うが、その流れを汲んだ歴史あるイベントに参加できて光栄だった。またそこで新たにお目に掛かった方もおられたし、そうした出会いも嬉しかった。受信成果はほぼ皆無だったが、ここの楽しみは飲んで語らうことだと思っている。BCL書籍の著者KOMとの飲み会もやっと実現した嬉しいイベントであった。人生の大先輩だが知的で明るいお人柄で、話していて楽しい。お目に掛かったのは6月でもう半年も経過してしまったが、あの一回で終わらせたくない。書籍の裏話を伺ってみたいし、いい影響を沢山受けたいと思っている。近隣のIOMとお近づきになれたのも嬉しい出来事であった。私の自宅を通り掛った際にALA-1530に気付いて、家内にお声掛け下さったことを本当に有難く思う。そして後日本当にお立ち寄り下さり、色々と話を伺うことが出来た。更に自分もOM宅を訪問し、シャックや懐かしいベリカードを拝見することが出来た。自宅から自転車で5分ほどの距離であり、間違いなく最も近所に住んでいるDXerである。そんな方とお近づきになれて本当に嬉しかった。初めて見て触るCollinsにも感激した。こちらも父親ほどの人生の大先輩だが、願わくばもっと突っ込んでお付き合いしてみたいと思う。

リグは今更買うことも無いと思っていたのに、今年も3台増えた。そのうち2台は茶臼山ペディの「売ります買いますコーナー」で譲って頂いたGrundig G-4とKenwoodブランドのR-1000だ。特に後者はIさんとの話の中で偶然そういう展開となり、思いもよらず手元に来ることになったものだ。運命の不思議を思うと共に、手元に置ける喜びを感じる。YAESU FRG-7700も知人DXerから譲って頂いたが、R-1000と併せて奇しくも中学卒業前後に憧れた受信機が今年揃って手元に来たことは、何とも偶然としか言いようが無くこれまた運命の不思議だ。

さて総括はこのくらいにして、来年を展望してみよう。来年はやはり毎月ペディに行って、もう一歩北米東海岸に近づいてみたい。そのためにも更に強力な武器を入手したいと思っているが、これは我が師のお力により実現しそうで大いに楽しみだ。同様に南方面もどのくらい受信できるか、今年も楽しみである。西方面(ヨーロッパ~アフリカ)も狙ってみたいが、これは新潟とか北海道とかそちらにペディに行く機会を作れるかどうかにかかっている。何とかそんなチャンスを作りたいものだ。

更にDX的には、今年できなかったVHF-DXペディを実行に移したい。今年はIC-R7100の外での受信のための電源を準備したところで終わってしまった。小高い所に出掛けてALAやログペリ等の指向性アンテナを使って、グアムやサイパンのFM局を受信することが来年の夢だ。

また多くのDXerの方とも交流したいと思っており、来年も機会を逃さず積極的にお目に掛りたい。海外のDXerとも折りに触れて交流してきたが、来年はSkypeやYahoo Messengerを使って「会話」をしてみたい。これはなかなか会って話すことが出来ない方々と、バーチャルでもいいのでもう一歩深く交流してみたい気持ちの表れだ。同時に英語の勉強でもある。趣味の話題で勉強するならば興味が持続できると思う。是非とも一石二鳥を狙いたい。

来年は復活して10年。これまで周囲のDXerに早く追いつこうと人真似ばかりであったような気がするが、そろそろ自分自身で考える、もう少しレベルの高いDXerに脱皮したいと思うのが偽らざる本音だ。

(Dec.31,2009)