最近MWDXがメチャメチャ楽しくなってきた。自宅でフィリピンやオーストラリアの中波局が聞こえると、ワクワクしてくる。すっかりその魅力に嵌りつつある。

 そもそも中波放送は国内という近距離に向けられた放送である筈なのに、遥か遠くの日本で聞こえるというところに言いようのない不思議とロマンを感じるのだ。丁度小学生だった自分が初めて短波で北京放送を聞いて「外国の放送が日本で聞こえるのか!」と驚いて感激したときぐらいのインパクトを感じているのだ。それとひとつのチャンネルで複数の放送が同時に聞こえるという不思議、しかも長いフェーディングの周期の中で、ある瞬間には国内放送が勝ち、また次の瞬間にはDX局が国内局を打ち負かすという不思議である。

 もともとMWDXに興味がない訳ではなかった。中学時代にもアジア、オセアニア、そして北米、ひいてはLAなどの放送を聞いているDXerを凄いと思ったし、自分も聞いてみたかった。しかし当時の自分はループアンテナも持っていなかったし、どうせうちでは聞こえないだろうと思ってトライしようとも思わなかった(いや、トライしたのかもしれないが、ダメだったのであっさり諦めたのかも知れない)。

 そんな自分が復活して1年経ってからMWDXをやろうと思ったのは、ループアンテナALA-1530を買ったことが直接のきっかけだった。元々はアフリカやLAの短波DXをしたかったし、ループは中波用のアンテナだという固定観念があったので、店で奨められても買う気がしなかったのだ。ところがループは短波用としても優れているのだと認識するに至り、ついに買うことになった。そしてせっかくループを買うのだったらと、頑張って中波も聞いてみようと思ったのである。それを見越してアンテナを買った直後にローテーターも購入した。設置には思いの外時間と労力がかかったが、出来上がってみると楽しくて意味もなくクルクル回したりして自己満足に浸っている(笑)。

 いま一点、私をMWDXに駆り立てたのものは、時間的制約というやむを得ぬ事情であった。仕事の関係でどうしても帰宅が遅くなる。午前0時以降に聞けるジャンルは何かと考えてみると、その一つに中波があるということに気がついた。確かに中波は深夜や早朝の時間帯でも聞ける。

 さて肝心のMWDXの成果だが、まだまだ入門者の域を出ない。粘り強くワッチすれば、近隣諸国の放送はかなり受信できるであろう。私の住んでいるところは太平洋まで車で30分という位置であり、ロケーション的にもそんなに悪くない。ALA1530、AR7030というハードも、MWDXをやるには充分な設備だと思っている。

MWDXをするに当たってのそんな自分の今の悩みは、MWDXに関する情報源が殆どないことである。DXer自体の数が少なく更にMWDXerの数は極めて少ない。「短波」誌全盛の頃は国内にも相当数のMWDXerがいた。しかし今はもう殆どおらず、どんなところがいつ頃聞こえるのかという受信ノウハウがないのだ。恐らく上記近隣諸国以外にも、かなりの数の局が聞こえるのではないかと思われる(例えばインドネシアとかサイパン、グアム、ハワイ、中東とかヨーロッパとか)。しかしながらまだ「模倣DX」しか出来ない自分としては、ほんの少人数のDXerがWeb上に公開されているわずかな情報しかない中で、手探りで探さざるを得ないのである。あとは昔の「短波」誌、「DX年鑑」くらいか。

まだまだ新参者の自分ではあるが、夢は大きく持ちたい。昔の自分には全くの夢に思えた、自宅で北米中波を受信することである。今年は大型のループアンテナを設置したり、またプリアンプを導入したり、またより狭帯域で切れ味の良いクリスタルフィルタを追加したりして大いにパワーアップし、是非とも夢を実現したいと思っている。

(Feb.11,2002)