年末に友人のShinさんがご自身のBlogで「日本のBCLブーム」について触れておられた(07年12月29日)。そのくだりで「(私も含めて)復活組の熱意は、今度は一過性のものを越えるところまでいくだろうか」と書いておられたのに反応して、思わずコメントした。私自身も復活してから7年が経ち、残念ながら徐々にモチベーションが低下していたからだ。2000年に復活して夢中で受信機やアンテナを整備して聞きまくり、またDXに傾倒してペディにも散々行って、レポートを出して沢山のQSLをゲットし、そして沢山の仲間が出来て今日まで来た。しかし「BCLブーム復活を!」などと思って夢中になってきたのに反して、この間BCLを取り巻く環境は悪化の一途を辿ってきた。
インターネットの普及は多くの情報をもたらし、また仲間とのコミュニケーションを容易にしたが、皮肉なことに短波放送の意義を限りなく低下させた。私が復活した以降もSRIやR.Denmarkなどの大どころが国際放送を中止し、今年遂に我がR.Japanも大幅にその放送を削減した。アフリカや南米やインドネシアの短波放送も非常に局数が減ってしまった。そもそも短波を受信する環境もノイズの増加で悪化し、市街地で微弱な電波を受信することが非常に困難になってしまった。PLCもあれだけ反対の声を上げたのにメーカーのエゴに押し切られ、遂に商品化され我々の居住空間に入ってきてしまった。
受信機もどんどん製造中止になってしまい、多くのBCLに愛された名機AOR AR-7030も間もなくディスコンになる。頼みの綱だった米Universalも海外向け商品の販売を中止してしまった。こんな中でどうやって希望を見出し、この趣味を楽しんでいけば良いのか?さすがに自分も暗澹たる思いになってきた。特にDXが順調な時は気にならなかったが、不振に陥ると途端にモチベーションが低下してしまった。Shinさんもそろそろその域に達してしまったようだし、私も同じであった。Shinさんは改めて「BCLのモチベーション」というタイトルで問題提起され、それに対し多くの方がコメントなさっていた。恐らくそれだけ多くの方が同じ思いを抱いていることの証であろう。私も改めてコメントさせて頂いたが、皆さんの意見や自分の意見を総合して、改めてこの問題を自分の中で総括したいと思う。
私自身はDX派であり、ひたすらDX局を追いまくるスタイルであった。しかし上述の通り短波DXに限界が見え始め、復活後から始めた中波DXも近隣ペディで受信できるところはかなり受信してしまった。では今後はどうするのか?これに対して私は2つの方向性を考えた。
1つは未だ見落としてきた類のDX目標を設定すること~私の場合は月曜早朝中波DXとVHF-DXだ。月曜早朝は月曜の仕事に響くし、かつ各局の停波時間も短く中々DX局が受信できないので本格的にトライしてこなかった。しかし幸いにも2000年からハッピーマンデーが始まり、少なくとも成人の日、海の日、敬老の日、体育の日は月曜休みとなった。2008年は暦の関係で8回の月曜休日がある。この日にペディをぶつければまた新しい境地が開ける可能性がある。VHF-DXに関しては短波衰退に反してFM局が増えてきたことが、着目の要因として挙げられる。特に中国や韓国などの近隣諸国におけるFM放送の発展は目覚しく、当面無尽蔵に開拓の余地がある。こういった自身にとって新しい境地を切り開くことで、まだまだDXへの情熱は維持できる筈である。
もうひとつは敢えて聞くことをやめる~最低限のアクティビティに抑えて、他の趣味に走ることである。無理して聞かなければというのはストレスに他ならず、また聞きたくなるまで放っておくという考え方だ。
皆さんの意見を拝見すると、私の挙げた2つの方向性をそれぞれ志向する両方のタイプの方がおられるように思われた。そしてもうひとつのタイプの意見があったが~これは私も同意見だが~、それは「仲間とつるんで遊ぶ」ことである。この仲間とつるむという行為は、この趣味において実に重要な要素であると思われる。そもそも誰ともつるまずに続けられる趣味であるにも関わらず、進んで仲間を求める人がいる。そして仲間とつるむことと長く続けることは、少なからず相関性があるように思われるからだ。
間違ってはいけないと思うのは、趣味において大事なのは「続ける」ことではなく「楽しむ」ことであるということだ。別に続けなくたっていいのだ。楽しいから結果的に続いたというのがあるべき形だと思う。個人差はあると思うが、他人とつるむのが楽しいと思う人は少なくないであろう。それ故に長続きしたというのも良いと思う。かのNDXCもそうだと思う。
私は欲張りなので「新しい楽しみ」も追求するし、「聞きたいときだけに聞く」スタイルも実践する。そして「とりあえず飲むだけでも喋るだけでも仲間とつるむ」のこともやるつもりだ。新しい楽しみのためにVHF受信機も購入したし、アンテナも頂戴して入手した。「ハッピーマンデーDXペディ」も早速1月から始める。しかしコンディションのパッとしないときには無理して聞くことはないだろう。そして飲み会だの「ただ会うだけ」の集いにも参加するつもりだ。こうやって「モチベーションを維持する」という意図なくして結果的に維持されていくことが、私の理想である。
(Dec.31,2007)