海外に行ったら現地でしか出来ないBCLの楽しみがある。今回はハワイで行われる親族の結婚式に家族で出席することになり、せっかくの機会だからと隙間時間にいかにしてBCL活動を行うか謀略を巡らす。そして①ハワイAMローカル局ID集の作成~特に日本での受信が非常に困難で自身未受信の局、②放送局訪問~KZOOとKKEA~の2点に主眼を置いて活動した。
受信機は自分のICF-2010は重くて旅行に向かないと痛感したので、S師より7600Gを拝借。アンテナは付属ループがあったが、今回はローカル局のみの受信だったので使用しなかった。
DXer各位からは頑張ってBCLに励んで来るよう激励の言葉を頂戴し、特にT師からは日系人向けの日本語放送をチェックしてきてはと課題を頂戴したが、900/KNUIは弱過ぎ、1270/KNDIは放送時間が不明で未チェックに終わった(※今Webでチェックしたら金曜18:30~20:00と掲載されていた。すぐ調べられたのに・・・ショック!)。同じくS師からチェックするように申し渡された1620は、時間帯が悪かったのか何も聞こえなかった。事前に下調べしていないとこういうことになる(涙)。それでも毎正時を中心に受信して課題①は無事終了。そして焦点の課題②に取り掛かる。
ハワイAMローカル局ID集(日付は日本時間)
Frequency | Call | Location | Comment |
590 | KSSK | Honolulu,HI | 06/03/26 |
650 | KRTR | Honolulu,HI | 06/03/27 イージーリスニング局 |
690 | KORL | Honolulu,HI | 06/03/28 ex KJPN 日本語局 |
760 | KGU | Honolulu,HI | 06/03/26 宗教局 |
830 | KHVH | Honolulu,HI | 06/03/27 News/Talk |
870 | KHNR | Honolulu,HI | 06/03/26 ex KAIM?News/Talk |
940 | KKNE | Honolulu,HI | 06/03/27 |
990 | KHBZ | Honolulu,HI | 06/03/26 |
1080 | KWAI | Honolulu,HI | 06/03/28 Talk |
1210 | KZOO | Honolulu,HI | 06/03/29 日本語局 |
1270 | KNDI | Honolulu,HI | 06/03/27 宗教局。日本語プロもあるようだ。 |
《KZOO訪問記》
まずはKZOOから訪問した。こちらはかなり前から同局のスタッフの方とメールでやり取りをしたのでアポ済みである。昨年S師が私のレポートを持って同局を訪問して下さった際に、スタッフの方とのコネクションが出来たのだ。もっとも私がコンタクトを取った方は、あいにく私が訪問する前後はバケーションとのことでお会いできず、代わりのスタッフの方を紹介して下さってその方を訪ねることになる。
3/26(日)のお昼過ぎにお邪魔する。この日はいずれにしてもオアフ各所を観光するつもりだったので、予めレンタカーを借りておいた。久々の左ハンドル右側通行に心地良い緊張感を感じつつ、初めての場所なので時間に余裕を持って向かう。何せ無鉄砲な私は何とかなるだろうと、道路等の下調べは殆どしていない。大体この辺だろうというアバウトさで車を走らせるのだ(笑)。それでも動物的な勘で、一発で同局のあるマノアマーケットプレイスに辿り着く。念のためそこから電話をするが、留守電の応答メッセージのみで話が出来ない。でもまあここに間違いないだろうと、歩いてオフィスを探し始める。すると日本人と思しき女性に話し掛けられる。「KZOOラジオのオフィスをご存じないですか?」。奇遇にも彼女もKZOOを訪問して来たようであった。実は自分もそちらに行くのだが、私も初めてなので探していると答える。もっとも彼女は地元の方であり、私のような日本から来たもの好きではない筈だが(笑)。
「5-204/KZOO」という表示を見つけルームナンバーは分かったのだが、うっかり通過してしまった。大きな看板も出ていないし、一見放送局に見えないからだ。ドアにKZOOの小さなステッカーが貼ってあるだけである。そこの前で家内に写真を撮ってもらい、いざ中にお邪魔する。応対して下さったのはDJの小椋カリーンさんであった。日曜日は一人体制のようで機材のオペレーションも行っておられたが、笑顔で親切に対応して頂けた。
お話を伺うと、同局はTBSと提携しており、午前中はTBSの番組をリアルタイムで中継しているとのことであった。実際スタジオの中をTBSの番組が流れており、そしてCMになると地元スポンサーのローカルCMに切り替えていた。この操作は全て手動。ちなみにニュースの内容も当日の英字新聞をスタッフが訳してそのまま放送するということで、全体的に手作り的なテイストが感じられる。
小椋さん自身についてお伺いすると、静岡や鹿児島などのFM局でDJをやっておられたとのことで、外国人と結婚されてハワイにお住まいとのことであった。そして縁のあったKZOOに勤務することになったそうだ。同局には芸能人がお忍びで訪問してきたり、DJ仲間が遊びに来て喋って帰って行ったりするなど、裏話を聞かせて下さった。
最後に何枚か記念写真を撮影し、またスタジオに座った私自身の写真を撮って頂いたりする。そしてお土産を渡し丁重にお礼を述べてオフィスを後にする。
KZOOスタジオにて。日付が間違っているが実際には3/26(現地時間)
伺っていたようにこじんまりしたオフィスで(以前のオフィスの1/3~1/4の広さだそうだ)、日本の放送局をイメージするとかなりギャップがある。しかし昔憧れてそしてやっと受信できたあの局に、今自分が足を踏み入れていることに深い感慨と大きな満足感を覚えていた。今回のハワイでの、いや自分のBCL LIFEでの最高の思い出のひとつになりそうである。訪問を快諾、そして歓待して下さったKZOOスタッフの皆様に深く感謝申し上げる次第である。
《KKEA訪問記》
ハプニング性が高いという意味ではこちらの訪問も大変面白かった。KKEAはスポーツ専門局ESPNのネットワーク局である。実は昨年1月の蓮沼ペディで受信できたハワイ5局のうち、残念ながら返信が頂けなかったのがKZOO(後にS師の訪問により入手=上述)とこのKKEAなのであった。Shinさんも昨年12月に同局を受信してレポートしたがやはり返信を得られていなかったので、じゃあ私が行って頂戴してきましょうと調子の良いことを言って、実際にレポートと受信音をお預かりして行ったのであった。
しかし安請け合いして行ったは良いものの、実は同局の住所すら調べていなかった(笑)。そこで休日出勤しているS師にメールを送って調べてもらった(会社のPCだったので個人のメアドが分からず、S師の会社のアドレスしか思いつかなかったのである)。そして当日、同局の所在するBishop通りに行くが、何せ詳細な地図を持っている訳ではない。通り名と番地だけでとりあえず行ってしまえという、私らしい乱暴なやり方だ。私の英語はかなり怪しいので、念のために私よりは慣れている家内に一緒に行ってもらった。
Bishop通り1000番は意外と簡単に見つかった。高層ビルが数本立っている、ホノルルのオフィス街の中心のようであった。どのビルがそれか分からず、とりあえず順番に入っていって、1Fで入居案内を見る。最初の2本は違った。特に2つ目のビルは810という部屋番号は存在したが、部屋の前まで行くと空オフィスになっていたので、フォーマット変更やオーナー交代の激しいアメリカ局だからひょっとして移転してしまったのではないかとちょっと諦めかける。そしてふと通りの向かい側のビルの入口に目をやると、なんとそこには「Bishop1000」と表示されているではないか!なんだ、あのビルじゃないか。ちなみに先に見たビルは1001番地であった。そこで急いでそのビルに向かい1Fにある入居者表示を見るが、810は個人の事務所的名称で、KKEAとも放送局とも書いていない。まあいいや、とにかく突撃してしまおうと図々しく腹を決め、実際に突入してしまう。
こじんまりとしたオフィスの中では男性2名と女性1名がミーティングをやっていた。「こちらはKKEAのオフィスですか?」と尋ねると、「そうです」と女性が答えてくれた。「しかしアドミニストレーションオフィスは2軒先のビルです。ご案内しましょう。」と言ってくれる。そこで有難くついて行くことにした。そして歩きながら話をする。「私は日本から来たのですが、貴局のリスナーです」「インターネットの?」「いいえ、ラジオで」「えー、本当ですか?」驚くような半信半疑の面持ちだったので、「特別なアンテナや受信機を使うと、ハワイからの電波が日本でも受信できるのです」と答える。そしてビジネスの名刺だったが渡して自己紹介し、「でも今回はあくまでもプライベートで来ています。」と付け加える。彼女も名刺をくれたが、そこには「President」の肩書きがあった。彼女の所属会社がKKEAとどういう関係にあるのか分からないが、いきなり社長にはちと驚いた。
さてその社長Susanさんはアドミニストレーションオフィスの応接に通してくれて、今度はKKEAのゼネラルマネージャーであるランダル・イケダ氏を紹介してくれた。名前で分かるように日系3世で、ルックスは日本人のままである。ただ日本語は話せないとのことであった。そこで改めて今回の訪問の趣旨を伝えると、「ああ、ベリフィケーションですね」と理解してくれる。そこでやおらShinさんと私のレポート及び受信音声CD-Rを渡し、「突然の訪問で恐縮ですが、確認頂けるようであれば発行して頂けませんか」とお願いしてみる。氏は快諾してくれて、10分程待ってくれれば準備しますよと言ってバックオフィスに消える。
KKEAアドミニストレーションオフィスの風景。やはり日付間違いでこちらは3/27
そして言葉通りに10分ほど経過してイケダ氏は戻ってきた。両手にShinさんと私宛のレターを持って!アポなし訪問にも関わらず、親切に対応して下さったことに丁重に礼を述べて少し話をする。「他にハワイの局はどこを受信しましたか?」「KZOO、KUMUなど数局です。昨日はKZOOにお邪魔してきました。」「当局にはノルウェーとかからもレポートが来ますよ」。さすが北欧のDXerだ。最後に今一度お礼を言って、握手をしてオフィスを辞す。
KZOOの訪問も良かったが、KKEAの訪問はまた違った意味で味があって面白かった。場所も良く分からず、そしてアポもなくとりあえず行ってしまう。そしてたどたどしい英語で意向を話して、何とかverifyしてもらう・・・非常に面白い経験だったし、当たって砕けろ的でいかにも私らしい気がする(笑)。短い旅行でしかも家族と一緒でなかなか自分勝手にも行動出来なかったが、良い思い出を作ることが出来た。さあ、次はどこへ行こうか・・・
(Apr.1,2006)