BCLをするに当たって昨年いくつかの目標を立てたが、そのひとつに「BCLで必要なものは自分で作る」というものがあった。残念ながら今日ではBCLは非常にマイナーな趣味であり人口も少なく、BCLのための市販されている用品は非常に少ない。或いはあったとしても異常に価格が高い。それは仕方が無いー量産効果が働かない状況ではどうしてもものの値段が高くなる。しかし部品だけであれば数百~千数百円のものが1万円以上になってしまうのはちょっとボリ過ぎではないか。
そういったお金のこともさることながら、それ以上に私は自分でものを作りたいという欲求があったのである。BCL/DXをやる者としてハードには詳しくありたいという思いがあった。そもそもものを作るのは嫌いではないのだが、電子工作についてはやや苦手意識を持っていた。回路図も読めないし、昔キットを買っては完成できないままで失敗したりもしていた。さらに遡れば少年時代にプラモデルがうまく作れず、母親にも「大きいお兄ちゃんに作ってもらいなさい」と言われ、それはトラウマになっていたのである。今回の工作を機に、それを克服したい気持ちもあった。
ただ大人になった今では、昔とは大きく状況が異なる。半田付けも昔より上手くなったし、何より非常に良い先輩が周囲にいて、その方々からいろいろと教えて頂く機会が持てるようにもなったのである。そして簡単なものから取り組んでいった。
まずはアンテナ2分配器を作ったが、これなど部品代だけだとわずか1,000円ほどである。市販品は大体1万円以上する。部品の点数は10個もなく、非常に簡単である。もちろんご指導頂いた成果であるが首尾よく成功して、すっかり気を良くしてしまった。アンテナが2基あったので、もう1台作ってしまった。
次にループアンテナである(中波用)。これは作り方がさっぱり分からなかった。そこでこれに関しては設計者の方のお宅にお邪魔して、直々にご指導を頂いて作ることが出来た。というか半分作って頂いたようなものであり、自分でやるときも「ここを半田付けして」と逐一指示頂きながら作った状況である。そういう意味では成功して当然だったが、反面訳も分からずに作ったので内容は全然理解していなかった。
ループ単体ではややゲイン不足なので、コントローラーにアンプを組み込むことにした。しかしこれがなかなかスムーズに行かない。そもそもアンプの製作で細かいところをいくつか間違えており、なかなか完成しないのである。そこでまずはプリアンプ単体からトライすることにしたがこれには苦労した。自分では大丈夫だと思ったのになかなかうまく行かず、3回失敗して4回目にやっと成功した。しかしこの失敗は無駄にはならなかった。これを作ったときに初めて回路図が読めるようになったし、配線のコツも会得することが出来た。部品も何回か買いに行って、自分で選んで買うことが出来るようになった。
アンプ単体が成功したので自信を持ち、それをループアンテナのコントローラーに組み込んでみた。ここでは電源やスイッチ、LEDの配線に関して試行錯誤を繰り返したが、これまでの失敗が生きて最後は成功を見ることが出来た。
そして勢いづいて今度は短波用のループアンテナを作成。蛇の目基板で作成して一旦は失敗したものの、FCZトランジスタ基板で作り直して、今度は一度で成功。こうなると加速度がつく。
アンテナ4分配器は写真と回路図、トランス作成の簡単なデータを見ただけで、あとは全て自分でやった。もうコアの配線を間違えることもなく一発で成功。ちなみに中波用ループの完成からプリアンプ単体の完成までには3ヶ月もかかってしまったが、そのあとの中波用ループへのアンプの組み込み、短波用ループの完成、4分配器の作成には半月ほどしかかかっていない。この間には9:1のバランも作った。
こうして昨年作りたいと思っていたもののほとんどを作ってしまった。作り終えてつくづくチャレンジして良かったなーと思う。いろいろと電子工作の知識は学べたし、何よりも大きな自信になった。「大きいお兄ちゃんに作ってもらいなさい」のトラウマからは完全に脱却できたと思う。そして今度はもっと難しいものにチャレンジしたくなっている。是非やってみよう。工作の道は果てしなく続く・・・
(Jan.11,2003)