26日にTDXC忘年会を終え、今シーズンも完全に終わったという実感が湧く。振り返ってみると、昨年こことTDXC忘年会で掲げた抱負の大半は実行に移せており、かつてない充実した一年であったと総括することが出来そうである。

まずは今年もTDXC会誌「PROPAGATION」はEdition3を発行することが出来た。執筆者も15名に達し、当初こうありたいと思い描いていたバラエティに富んだ内容になってきた。会誌はサークルという団体の成果だが、個人的には会誌があり自身に発表したい研究テーマを課すことで一種の緊張感が生まれており、自己満足ながら何某かの進歩に繋がっているのは嬉しいことである。今号では自分は「BCLの楽しみを拡げてくれたミズホ通信」というタイトルで、ループアンテナやアンテナカップラーなど、BCLとしては周辺機器メーカーとして親しまれたミズホ通信について調べてレポートした。誠実な高田社長に大変お世話になってしまったが、昨年のB連に続き自分が知りたかったことを知ることが出来て、自分としては満足である。また今号より「OM探訪」を書くことを決め、初回は赤林OMにご登壇願った。今年の課題の一つがまさにOMを訪ねお話を伺い次の一手を考える「温故知新」であったので、これから色々な方のお話を伺う第一歩を踏み出せた気がする。

次に海外でのBCL活動。これは当初は単独でシアトルかオーストラリアに行って現地の放送局や現地人DXerを訪ねることを企図していたが、様々な展開から年初の時点で行き先がサンディエゴに変わった。そうしてこの地で在米邦人DXerお二方と会い色々話し、一緒にラジオ~特に土地柄メキシコ局を聞いた。更にはご一緒に現地のハムショップ、更には放送局、送信所を訪問することが出来た。自身の海外でのBCL活動としては最高の想い出を残すことが出来たと思うし、お付き合い頂いたお二方には大変感謝している。

そして「BCL遠足」と「工作会」だが、これも「横浜旧軍無線通信資料館」の訪問、そして仲間内でブームとなっている「Ultralight DX用アンテナ改造」を一緒に行うという形で実行した。前者はやはりPropagationをご覧下さったローカルのOMさんがご教示下さり、我々の仲間と一緒に訪問することになったものである。また「遠足」とは呼べないが、春と夏にお仲間とともに「松田町ジャンク会」「横浜泉アマチュア無線クラブの不用品交換会」に参加しモノを売ったり買ったりしたのも楽しかった。工作会は飲み会でのS師によるインストラクションと資材の配布、それから工作後にLCRメーターを所有するお仲間宅に集まって飲み食いしながら機器で測定し調整し直しただけのことではあるが、お互いに教え合いながら作ることで沢山のことを学ぶことが出来たし、大変楽しく作ることが出来た。このように飲み会でもない、ペディでもない、新たな活動をやりたいと思っていてそれが出来たのは、「BCLのアカルイミライ」を模索する上で意義があったと感じる。

それから忘れてはいけないDXペディション。こちらはバリエーションに富んだ形態で7回開催した。茅ヶ崎の宿泊ペディは1月と3月に2回開催したが、特に後者においてはS師謹製TDDF(Twisted Double Delta Flag)が初登場となり、好コンディションも幸いしてその鋭い指向性で非常に良い成果を出すことが出来た。同じく後者では今年の工作テーマとして製作した「ナゾのトライアングルアンテナ」も実戦使用され、DE-1103との組み合わせでオーストラリアのX-Band小出力(400W)局を受信するなど、これまた大変に楽しい経験をすることが出来た。茅ヶ崎ではこうしたDX的な成果だけでなく、新たにお仲間に加わった板さんの、文字通り「板さん」ぶりに大いに楽しませて頂いたことも忘れられない。夏至前後のチョイペでは、近年行なっているバイクチョイペとUltralightの自転車チョイペの仲間と合流した城ヶ島ペディも面白かった。秋の外房にも久々に出向き、好コンディションにも恵まれて沢山のTP局を受信することが出来た。太陽活動的には近年苦戦が続いていたが、やっと中波DXに適するサイクルに入りつつあるように感じる。そしてペディの総仕上げは恒例となった遠征ペディだが、今年は趣向を変えて初島へ。DXというよりは「レジャーペディ」という新しいコンセプトが提唱され、飲んで食べて音楽を聴いて語って、無線をやりたい人は無線をやり、テニス好きはテニスをやるという、実にリラックスした贅沢な時間を過ごすことが出来た。

それからこれは当初は全然企図していなかったのだが、今年は「断捨離」ということで受信機の大半を手放した。BCL復活以降15年間、昔の夢を追うように機会ある度に懐かしのBCLラジオ、通信型受信機を入手してきたが、「持たないシンプルライフへの回帰」、そして「モノを所有する」ことから「仲間と分かち合う活動」に楽しみの視点が変化してきたことがその背景にあったのだと思う。こうしてシャックは寂しくもなったが、やはりそれ以上に清々しい気持ちの方が勝っているように感じる。

このように振り返ってみると、これだけ充実した1年を過ごすことが出来たのは、大切なお仲間の存在ということに帰結するであろう。TDXC、そしてPropagationを通じて新たに知り合った方々との交流で、楽しみ方の形態が多様化してきたということなのだと思う。新しいお仲間の個性が新風を吹き込み、従前の飲み会・ペディに加えて工作、無線、遠足、グルメ、レジャーなど新たな要素が加わり、我々のBCLライフはますます充実してきた。本当にお付き合い下さったお仲間には改めてお礼申し上げたいと思う。

さて、そんな総括を元に、来期を展望しよう。

来期特に取り組みたいのが中波DXである。上述の通り、太陽活動的に適するサイクルに入っていきそうである。実際に宇宙天気情報センター(SWC)が発表している「今後12ヶ月の黒点数の予測値」を見ると、1年掛けて緩やかに黒点数は減少し、2016年11月の予測値は「31」となっている。チリのR.Corporacionを強力に受信したのが2006年なので、11年周期で考えると2016~2017年辺りは大変期待出来そうである。前回ピーク時には未だ使用していなかったSDRも今はある訳で、ここは是非狙いたく、ペディションも回数を増やして実施したいと思う。多様化したとは言え、BCL活動の中心はやはりDXでありたい。

それから海外におけるBCL活動として、 来年こそ現地DXerと交流したいと思っている。これは私単独でなくお仲間が実際に色々と企画して下さっており、様々なハードルを乗り越えてこれが実現することを願っている。そして実現することに備えて、今年も語学力向上に励もう。昨年から細々と「NHKラジオ英会話」を聞いてはいるが、本当に行くとなったら必死でやらねば折角の交流の機会も台無しだ。そんな危機感を煽る上でも、このイベントは是が非でも実現させたいと思う。

従前からの活動はそのままのテンションで継続したい。TDXC、Propagation、チョイペ、飲み会、工作会、遠足、無線・・・お仲間との交流の中で、きっと沢山の楽しみが生まれていきそうである。

BCLを復活して丸15年が経過し、円熟の充実期の到来を感じる。たかだか趣味ではあるが、この流れを止めずに楽しんでいきたいと思う。趣味も人生を充実させる、大変重要な要素なのだから。

(Dec.30,2015)