復活のきっかけは本当に意外なところにあった。相変わらず私は無線そのものは好きであったと思え、94年には「おもしろ無線受信ガイド」という本に刺激を受けてV・UHFの受信を開始することになった。ただしリグはFT-729というハンディトランシーバーで、4アマを取ったことからも必ずしも受信専用を意識したわけではなかった。また当時自宅は横浜の賃貸マンションでもあり、短波を聞くという発想には全く至らなかった。

そしてBCLそのものの復活は2000年11月。きっかけはYahooのオークションであった。知人にそういったものが存在することを聞き、そしてそこでいろいろなものが個人売買されていることを知り、「俺が売れるとしたら・・・ラジオかな。じゃあ5900とかFRG-7はいくらで売れるんだろう?」と思ってアクセスしたことに始まる。もちろん使っていないとは言え、思い出の詰まった、また両親に買ってもらった宝物を売る気など全く無かったが、アクセスしてみてそこそこの値段で取引されているのを見て、それなりの価値がついてきているんだなーと感じた。

そしてついでに思ったのは「果たして今BCLってどうなっているんだろう?」ということであった。BCLをキーワードにWebを調べていくと、ブームが去ったあとも地道に趣味として続けている人も大勢いることを知った。特に自分が昔「短波」を愛読していたころ、それらのアドバイザーであった人たちの多くはそのまま続けていることを知り何とも懐かしさを感じた。

夢中でネットサーフィンし現状のあらましをつかんでいく中で、「もう一度聞いてみたい!」という思いが自分の中に沸き起こっていることに気付いた。そして押入れから両機を引っ張り出して聞いてみた。残念ながら5900は短波帯はアウト、FRG-7も今一不良であることが判明した。そこで買い替えを念頭において「今の人気リグってなんだろう?」と調べ、最も人気があるのがAR7030であることを知り、AORのダイレクト通販に価格を聞いたりもした。

そして実機を見に行ってみようと思い休日に出かけた近所のハムショップで、中古で売りに出されていたNRD535に出会うことになる。「日本無線」とか「NRD5××」とか言ったら、昔の自分にとってはとても手の届かない(最初に出たNRD505は何と398,000円もした!FR-101Dの180,000円でも逆立ちしても買えないと思ったのにである)高嶺の花であった。それが中古とはいえ店主曰く「出物ですよ」と50,000円。試聴してJJYがクリアに聞こえることを確認し迷うことなく「買った!」。

リグを買ったら次はアンテナである。とりあえずまずはロングワイヤーだと、銅線とポールになるものを買ってきて早速聞いてみる。懐かしい。日本語放送が、各国の国際放送が、そしてDX局がボツボツと聞こえてくる。しかし自分が535に期待していたほどは聞こえない気がする。そうすると535の実力を100%発揮させようと、535のオプションとかアンテナとか周辺機器とか次々追加する。ECSSユニットを、BWCユニットを、アンテナカップラーを、アクティブアンテナAN-1を・・・と次々購入する。それから「情報が欲しい」とWRTHやPWR、それから少し古いが日本のBCL書、そして何と言っても最大の情報源の一つとなるであろう日本BCL連盟への再入会を果たした。とにかく20年前と今との最大の違いは給料をもらっているかどうかということ。ある程度お金が自由になった今では、自由になるお金を最大限BCLに投資することにした。録音のためのMDまで購入した。

BCL復活と同時にはまったのがオークションである。お金がある程度自由になるとは言え、趣味に過ぎないBCLに過大な投資をするのには抵抗があり、最少投資で必要なものを揃えるためにも大いに活用した(実際上記MDは近所のリサイクルショップで購入)。また今となっては中々手に入れることが出来ないもの(書籍など)もここで購入した。